2020年今年の10冊
いろいろあった2020年。
今年出会った書籍のなかから10冊をピックアップしてみました。
「鳥の歌いまは絶え」ケイト・ウィルヘルム/創元SF文庫
「旅に出る時ほほえみを」 ナターリヤ・ソコローワ/白水Uブックス
「画家たちのフランス革命 王党派ヴィジェ=ルブランと革命派ダヴィッド」鈴木杜幾子/角川選書
「ナウシカ考 風の谷の黙示録」赤坂憲雄/岩波書店
「中華の成立: 唐代まで」 渡辺信一郎/岩波新書
「ペルシア帝国」青木 健/講談社現代新書
「民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代」藤野裕子/中公新書
「暴君――シェイクスピアの政治学」スティーブン・グリーンブラット/岩波新書
「歴史探究のヨーロッパ-修道制を駆逐する啓蒙主義」佐藤彰一/中公新書
ユリイカ2020年12月号 特集=偽書の世界/青土社
最初の2冊とユリイカ以外はすべて図書館から借りて読んだものです。
ジャンルでは
海外文学(SF)2冊
西洋史 2冊
東洋史 2冊
評論 1冊
日本史 1冊
政治学 1冊
文化史 1冊
西洋史も政治学も文化史と言ってもよさそうな内容。
「鳥の歌いまは絶え」は、疫病により絶滅した人類の若き生き残りがかつてあった文明を探検するというジュブナイル要素も満載。ほかにもコロナ禍の影響で多く出た疫病関連SFの「赤死病」「白い病
」も楽しめました。
「旅に出る時ほほえみを」もまた女性作家によるSF。
「画家たちのフランス革命」は、女流肖像画家ヴィジェ=ルブランの部分が絶品。政治に興味はなくても王室と上流階級の女性たちを華麗に描き続けた美貌の画家の評伝はまるで少女漫画のようでありました。
「ナウシカ考」は、今年も赤坂氏の評論です。ナウシカは私も愛する作品であり、赤坂氏の所説に納得するわけではありませんが、考えるきっかけにはなります。
「中華の成立」はシリーズ中国の歴史の第1巻。王朝史を離れて制度としての中華がどのように成立しているのかを詳述。
このシリーズは「江南の発展: 南宋まで」「陸海の交錯
」もまた読みごたえがありました。
読書量の大半を占めている日本史は、「民衆暴力」1冊でした。「紫外線の社会史」「性からよむ江戸時代
」「藤原定家 『明月記』の世界
」あたりも気になりましたが、全体になるほどとは思わせても見方を変えてくれる新鮮な驚きはありませんでした。
思想史は1冊もなし。期待した「世界哲学史シリーズ」が寄せ集め感を乗り越えられず残念でした。
ちなみに、私の蔵書で昨年読んだ本の参考文献に複数回挙げられていたものは、
4回が
「方法序説」
3回が
「王の二つの身体」
「ガリア戦記」
「社会契約論」
「ミリンダ王の問い」
「人間不平等起原論」
「無縁・公界・楽」
「室町の王権」
「遊牧民から見た世界史」
新しい本をほとんど買っていないので、量が減って来るのはしょうがないでしょう。
2021年はどうでしょう。好奇心が衰えないようにしないと。
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