9月の気になる新刊(新書・文庫・選書)
9月の新刊から気になる新書・文庫・選書をピックアップ。
私の蔵書とリンクさせて紹介します。
◎岩波新書「暴君ーシェイクスピアの政治学」スティーブン・グリーンブラッド
著者の立ち位置はよくわかりませんが、蔵書では
「シェイクスピアのフォークロア」と「王の二つの身体
」
「祭りと叛乱」あたりでどうにか見えてくるような気がします。
◎岩波新書「道教思想10講」
老荘ではなく道教というところが味噌ですね。
「淮南子の思想」「道教の神々
」「不老不死
」あたりではないかと。
◎中公新書「ヒトラーの脱走兵-裏切りか抵抗か、ドイツ最後のタブー」對馬達雄
帝国陸軍を思えば脱走兵についての研究がありうるだけドイツはちゃんとしていたというべきでしょうか。
◎中公新書「万葉集講義-最古の歌集の素顔」上野 誠
文学としての「万葉集」については蔵書にはありません。
◎講談社ブルーバックス「日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る」播田安弘
同じ理系の日本史では手元に「日本史再発見」なんていうのがあります。
◎ちくま新書「明治憲法史」坂野潤治
同じ著者による「明治デモクラシー」も当然関連するでしょう。
◎ちくま新書「渋沢栄一 ―日本のインフラを創った民間経済の巨人」木村昌人
渋沢が関係したであろう明治期の経済については「日本財閥史」。
旧幕臣系の学校では「工手学校」あたり。
◎新潮新書「天才 富永仲基 独創の町人学者」釈 徹宗
わが家の本棚で富永仲基については、「日本の思想文化」でわずかに触れている程度。
懐徳堂関連では、ほかに山片蟠桃について触れている本があるくらいで、教科書的な上っ面だけしか知りません。
◎文春新書「感染症の日本史」磯田道史
やたらと多い感染症関連。日本史では「江戸のはやり神」ぐらいかな。
◎NHK出版新書「マルクス・ガブリエル 危機の時代を語る」丸山俊一NHK「欲望の時代の哲学」制作班
たぶん読まないだろうとは思いつつ、気にはなっています。
◎NHK出版新書「名著ではじめる哲学入門」萱野稔人
このひとのいう“哲学”はたぶんに実用的なものらしく、最近はやりの社会学の人たちと似た印象があります。
さてどんな“名著”がとりあげられているのやら。
◎白水社文庫クセジュ「キリスト教会史100の日付」ベネディクト・セール
キリスト教会史は知りませんが「守護聖者」には日々の聖人の日が載っています。
◎岩波文庫「白い病」カレル・チャペック
感染症関連の小説が毎月出ますね。
チャペックでうちにあるのは「ロボット(R.U.R)」「山椒魚戦争
」
「絶対製造工場」の3冊。
チャペックは面白い。誰だ彼を殺したのは。
◎岩波現代文庫「定本 酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化」髙橋昌明
オリジナル中公新書は持っています。
同じ題材の「酒呑童子異聞」がより民俗学的アプローチなのに対して、疱瘡神として都を脅かすの酒呑童子を刺激的に描きます。
同じ著者では「平家の群像」も。
◎ちくま学芸文庫「インドの数学―ゼロの発明」林 隆夫
「非ヨーロッパ起源の数学」でもインドの数学を扱っています。
◎ちくま学芸文庫「精選 シーニュモーリス・メルロ=ポンティ
高校時代メルロ=ポンティの名前を知ってるだけで、サルトルを語る人よりは偉そうでした。
みすずの白いブックカバーを思い出します。
今はきっと手には取らないでしょう。
概要は「現象学」で。
◎ちくま学芸文庫「朝鮮銀行―ある円通貨圏の興亡」多田井善生
朝鮮銀行そのものの働きはまったく分かりません。
「物語韓国史」「韓国併合
」で断片的に知ってるだけです。
◎ちくま学芸文庫「「明の太祖 朱元璋」壇上 寛
朱元璋については「中国の大盗賊」で。
◎講談社学術文庫「レヴィ=ストロース 構造」渡辺公三
レヴィ=ストロークの著作は「世界の名著」
「人種と歴史」「アスディワル武勲詩
」のみ。
解説は「レヴィ=ストロース入門」で。
◎講談社学術文庫「食はイスタンブルにあり 君府名物考」鈴木 董
鈴木氏の著作は「オスマン帝国」「パクス・イスラミカの世紀
」
「オスマン帝国の解体」。
氏の著作がオスマン帝国の見方を変えてくれました。
トルコ料理について触れてるものはないんですが。
◎講談社学術文庫「満州事変 戦争と外交と臼井勝美
わが家の「日中十五年戦争史」「日中戦争
」でも
当然のように満州事変はその前史として触れています。
◎講談社学術文庫「江戸・東京水道史」堀越正雄
書棚の本では都市計画関連のほか「「清潔」の近代」が関連しそうです。
◎講談社学術文庫「改訂版 神話と歴史叙述」
古代史への文学的アプローチでは「神話と国家」。
◎講談社選書メチエ「シルクロード世界史」森安孝夫
同じような展望では「遊牧民から見た世界史」があります。
ただし話が大きすぎると眉唾物になってしまいます。
◎講談社選書メチエ「黄禍論 百年の系譜」廣部 泉
おそらくは「物語 アメリカの歴史」が取り扱っています。
◎講談社選書メチエ「大仏師運慶 工房と発願主そして「写実」とは」塩澤寛樹
通史に名前が挙がる程度の知識しかありません。
◎吉川弘文館歴史文化ライブラリー「イエズス会がみた「日本国王」: 天皇・将軍・信長・秀吉」松本和也
蔵書では「フロイスの日本覚書」「南蛮太閤記
」あたり。
◎吉川弘文館歴史文化ライブラリー「難民たちの日中戦争: 戦火に奪われた日常」芳井研一
上の満州事変を参照。
今月の目玉。
「白い病」はきっと買うでしょう。
あと岩波新書「暴君」も面白そう。
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