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2019年10月30日 (水)

11月新刊 新書・文庫・選書

11月の新刊から気になる新書・文庫・選書を蔵書とリンクさせて紹介します。

◎岩波新書「中華の成立: 唐代まで―シリーズ 中国の歴史①―」渡辺信一郎
中国通史では「物語 中国の歴史」。
中華世界の統一という意味では「秦の始皇帝」があります。

◎中公新書「海の地政学-覇権をめぐる400年史」竹田いさみ
同じ著者では「世界史をつくった海賊」。
全般的なところでは「近代世界システム 1600~1750」で。
アメリカなら「略奪の海カリブ」、アジアでは「東インド会社」あたり。
話が大きすぎて歴史をなぞるだけになる心配もあります。

◎中公新書「古関裕而-流行作曲家と激動の昭和」刑部芳則
古関裕而といえば戦前なら軍歌、戦後ならオリンピックや歌謡曲と時局に合わせた活躍をしていますから昭和史と絡むでしょう。
ただ、そのものズバリ過ぎて当たり前になるのではという不安も。

◎中公新書「歴史探究のヨーロッパ-修道制を駆逐する啓蒙主義」佐藤彰一
タイトルでは分かりにくいですけど、修道院の学問から啓蒙主義歴史学が生まれたということのようです。
サン・モール修道会のマビヨンという一般にはマイナーな思想家について書かれた新書が出るとは驚きです。
うちの蔵書でマビヨンに触れているのは「歴史叙述」で、
修道院の学問については「修道院」あたりでしょうか。これは必読でしょう。

◎ちくま新書「日本の民俗宗教」松尾恒一
書棚には同タイトルの「日本の民俗宗教」があります。
違う視点が得られるでしょうか。

◎ちくま新書「千家尊福と出雲信仰」岡本雅享
出雲大社がいかにして維新に関わったかという時、千家尊福は欠かせないでしょう。
時代的には「神々の明治維新」が当たります。

◎ちくまプリマー新書「はじめての三国志 ─時代の変革者・曹操から読みとく」渡邉義浩
一時期三国志関連はずいぶんと読みましたが、いまでは処分してしまい「三国志演義」ぐらいしか残っていません。

◎角川新書「豊臣家臣団の系図」菊地浩之
秀吉については「秀吉の経済感覚」ぐらいで、秀吉政権の内実は読んでいません。

◎NHK出版新書「明智光秀: 牢人医師はなぜ謀反人となったか」早島大祐
NHKですから当然大河関連書籍ということです。

◎白水社文庫クセジュ「コラボ゠対独協力者の粛清」マルク・ベルジェール
対独協力者については「ナチ占領下のフランス」にもあります。
私が観た映画では『ルシアンの青春』が思い出されます。泣けます。

◎ちくま学芸文庫「ドゥルーズ: 解けない問いを生きる【増補新版】」檜垣立哉
ドゥルーズについては「現代思想の系譜学」など概説だけです。

◎ちくま学芸文庫「河童の日本史」中村禎里
河童について触れているのは「新版 河童駒引考」。
その他民俗学関係本でも当然河童について触れています。
ただし、本書は民俗学というより史的変遷がメインです。

◎ちくま学芸文庫「日本の神話」筑紫申真
同じ著者では「アマテラスの誕生」があります。これは名著です。

◎ちくま学芸文庫「法の原理: 自然法と政治的な法の原理」トマス・ホッブズ
ホッブスでは「世界の名著」に著名な「リヴァイアサン」がありますが、本書も主著といっていいでしょう。

◎ちくま学芸文庫「釈尊の生涯」高楠順次郎
今頃なぜ戦前仏教学の重鎮の文庫化でしょうか。学問的には古くなっているのでは。

◎講談社文芸文庫「ヒューマニズム考 人間であること」渡辺一夫
同じ著者のものでは「フランス・ルネサンスの人々」「フランス文学案内」があります。
ヒューマニズムについては「ルネサンスと人文主義」や「イタリア・ルネサンスの哲学者」も。

◎講談社学術文庫「中世の罪と罰」網野善彦,石井 進,笠松宏至,勝俣鎭夫
中世の風景」には網野、石井が参加しています。笠松のものでは「徳政令」勝俣では「一揆
似たタイトルでは「西洋中世の罪と罰」があります。

◎講談社学術文庫「トマス・アクィナス『神学大全』」稲垣良典
トマス・アクィナスの著作で手元にあるのは「君主の統治について」だけ。
解説としては「西洋古代・中世哲学史」が役に立ちます。

◎角川ソフィア文庫「茶室学講義 日本の極小空間の謎」藤森照信
うちの本棚で茶道について触れているのは「日本文化の歴史」ぐらいです。要するに何も知りません。

◎平凡社ライブラリー「中世思想原典集成 精選7 中世後期の神秘思想」上智大学中世思想研究所 編訳・監修
こちらも当然「西洋古代・中世哲学史」が有効でしょう。
神秘主義者の著作では「エックハルト説教集」「学識ある無知について」が書棚にあります。

◎講談社選書メチエ「維摩経の世界 大乗なる仏教の根源へ」白石凌海
維摩経は演劇的面白さがあると言われていますがむろん読んだことはありません。
大乗経典を読む」にあるぐらいです。

◎角川選書「捨身の仏教 日本における菩薩本生譚」君野隆久
ジャータカにある捨身が日本でどのように受容されたのか。
著者は「グスコーブドリの伝記」あたりを念頭に置いているようです。

◎吉川弘文館歴史文化ライブラリー「神仏と中世人: 宗教をめぐるホンネとタテマエ」衣川 仁
関連するのは「お伊勢まいり」「神仏習合」あたりでしょうか。
ホンネとタテマエという言い方はあまり好きではありませんが。

◎吉川弘文館歴史文化ライブラリー「明智光秀の生涯」諏訪勝則
これも大河関連書。

◎平凡社ブックレット 〈書物をひらく〉「江戸水没: 寛政改革の水害対策」渡辺浩一
地震、火山はあっても台風、大雨についての歴史は持っていません。

今月の目玉は
「歴史探究のヨーロッパ」「コラボ 対独協力者の粛清」
「ヒューマニズム考」「中世思想原典集成 精選7」
「捨身の仏教」「江戸水没」
なかでも「歴史探求のヨーロッパ」は期待大です。

 

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