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2018年1月 1日 (月)

あけましておめでとうございます&昨年の10冊

2018年もよろしく。

今年の最初に、昨年私の読んだ本から10冊を選んでみました。

◎「新・風景論: 哲学的考察
景色を眺めることは絵画を鑑賞することから生まれたもの。という逆説的な真実は、例えば高山さんや荒俣さんも書いていたような気もするけれども、その辺のまとめ方が手際がよくすっきりしています。惜しむらくは著者自身の結論が意外と陳腐で腰砕けになるところでしょう。

◎「カラー版 - ダ・ヴィンチ絵画の謎
絵画そのものではなく、地質学や手稿からさぐるダ・ヴィンチ絵画。科学と芸術のはざ間がスリリングですらあります。

◎「ガラス玉遊戯
ヘルマン・ヘッセのユートピア小説。訳が古くて読みにくいのが難ですが、長年読みたかった1冊です。

◎「系外惑星と太陽系
唯一の理科系。難しい内容を難しいままキチンと伝えようという著者の本気度が伝わります。

◎「平安京はいらなかった: 古代の夢を喰らう中世
作った時点から維持困難だった古代の都の顛末を、ユーモアをこめながら実証的に描きます。

◎「核の誘惑: 戦前日本の科学文化と「原子力ユートピア」の出現
やや冗長に流れはしますが、原子力がどのように夢想されどのように実現されてきたかを跡付けています。

◎「世紀末の長い黄昏――H・G・ウェルズ試論
ヨーロッパ文明の衰退を予感しつつ新しい世界を夢想したH・G・ウェルズ像です。

◎「ケイレブ・ウィリアムズ
社会派ミステリーというより正義も悪も超えた人間の暗黒面を描くゴシック小説。

◎「凱旋門と活人画の風俗史 儚きスペクタクルの力
活人画というあまり知られていないジャンルへの招待。上の「新・風景論」とも重なります。

◎「騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編/第2部 遷ろうメタファー編
これまでの作品と似たイメージで、決して著者のなかで上出来の方ではありません。それでも先を読みたくさせる話術と内容は込められています。

本の形態別では
新書(中公、岩波、白水Uブック)
文庫(角川)
選書(筑摩選書、歴史文化ライブラリー、講談社メチエ)
単行本 3(勁草、春風、新潮)
なんと出版社が10冊すべて異なっています。まったく意図していなかったことなのですが。

入手経路では
書店 1
BOOKOFF 1
古書店 1
図書館 7

ジャンルでは
哲学 1
文化史 1
美術史 1
文学評論 1
科学史 1
(私としてはこの5冊はすべて文化史ですが)
日本史 1
天文学 1
日本文学 1
外国文学 2


別格なのが「原典 ルネサンス自然学〈上巻・下巻〉
全巻通して読むようなものではないでしょうが、フィチーノからティコ・ブラーエ、コペルニクス、ジョン・ディーと、目のくらむような内容です。これで各巻1万円以下というのは破格の安さ(もちろん私には高価ですが)。私はアンドレーエをコピーしただけですので選びませんでしたが、もちろん10冊のトップにおくべき1冊です。

また、上の10冊と入れ替え可能なのが
教育者だけではなく知の運動家としての「ヨハネス・コメニウス 汎知学の光
ロシア正教の異端がソヴィエトを作ったという「神と革命: ロシア革命の知られざる真実
そのままコミック・アニメやラノベにでもなりそうな「光明皇后 - 平城京にかけた夢と祈り
能や歌舞伎を生み出したものまねを描いた「〈ものまね〉の歴史: 仏教・笑い・芸能
東国の無学で粗野な在地領主ではなく、官吏として力を培った武士という視点の「列島を翔ける平安武士: 九州・京都・東国

おまけです。
私の書棚にある本のうち、読んだ本の参考文献に載っていた回数をカウントしました。
5回が「古事記」「日本書紀」「続日本紀」
3回が「国家」「歴史」「東方見聞録」「人間不平等起原論」
「中世の秋」「想像の共同体」「オリエンタリズム」「日本の誕生」
ま、順当なところでしょう。


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