12月の新刊
12月の新刊から気になる新書・文庫・選書を私の蔵書と関連させて紹介します。
◎岩波新書「植民地朝鮮と日本」趙 景達
どんな言い訳したってよその国を植民地にしておいてこんなに良いことをしたって言えた義理はないわけです。
本書の前段が「韓国併合」となるわけです。
◎岩波新書「イギリス史10講」近藤和彦
古代から現代に至るイギリス通史。
わが家にある通史は文化史・社会史的なものばかり。
「森のイングランド」「もうひとつのイギリス史
」「ユニオン・ジャック物語
」
ほかでは「英仏百年戦争」「エリザベス一世
」「政治家の誕生
」「東インド会社
」あたりが重要なところかな。
◎岩波ジュニア新書「ヨーロッパがわかる――起源から統合への道のり」明石和康
古代ギリシアから、ローマ帝国、十字軍、ルネサンス、フランス革命、世界大戦、東西対立、EU…。オイオイといいたくなるような忙しい宣伝文句。
うちの本棚では「ヨーロッパとは何か」でいかがでしょうか。
◎講談社現代新書「科学vs.キリスト教 世界史の転換」岡崎勝世
同じ著者のものでは「聖書VS.世界史」なんてのがある。こっちもvsつき。
初期近代の科学を扱っていればケプラーでもニュートンでもガリレオでももちろん関連があるし、全体的なところでは「科学革命の歴史構造〈上〉〈下〉
」「なぜ地球が動くと考えたのか 大発見(3)
」あたり。
「18世紀の自然思想」はどうかな?
◎講談社ブル-バックス「古代世界の超技術」志村史夫
真面目な本ですからオオパーツものではないでしょう。古代の建築物とかその辺でしょうか。
◎講談社ブル-バックス「極限からみた生命」長沼 毅
生物学はなにはともあれ興味はそそられる。
◎ちくま新書「思考実験: 世界と哲学をつなぐ75問」岡本裕一朗
哲学的にものを考えるとはどういうことかみたいな本だろうとは思う。
あまり得意ではない分野です。
◎ちくま新書「ユダヤ教 キリスト教 イスラーム: 一神教の連環を解く」菊地章太
ちょっと前に講談社メチアの類書を読んだところ。おまけに著者は今読んでいる「妖怪学の祖 井上圓了」の著者でもある。
随分と私の興味に近いところにある本なんでしょうが、どう解いたところで多分びっくりするようなことはないと思います。
うちの蔵書では「古代オリエントの宗教」「一神教の誕生
」あたりが近いかも。
◎ちくま新書「新しい論語」小倉紀蔵
論語かあ。著者は朱子学が専門みたいだから論語のそういう読み方ってことなのでしょうか。
◎平凡社新書「驚きのアマゾン: 連鎖する生命の神秘」高野 潤
うちにあるアマゾンといえば黄金郷か人類学ばかり。でもアマゾンの生物は面白い。
◎平凡社新書「「東京物語」と小津安二郎: なぜ世界はベスト1に選んだのか」梶村啓二
わかりません。私のベスト1ではありませんから。
でも評論家はみんな好きですよね。きっとそういう映画なんでしょう。
◎平凡社新書「5つの謎からわかる宇宙: ダークマターから超対称性理論まで」荒舩良孝
似たような入門書では「最新宇宙論と天文学を楽しむ本」「図解雑学 天文学
」なんていうのがある。
◎文庫クセジュ「[新版]ローマ共和政」フランソワ・イナール
ローマ史でもうちにあるのは帝政以降がほとんどで共和政については読んだことがない。
◎ちくま文庫「権力の館を歩く: 建築空間の政治学」御厨 貴
日本の首相たちの邸宅からから権力者たちの本性に迫ろうという試み。
親戚に政治家がいたので、いつでも客が出入りしているという雰囲気は何となくつかめるような気がする。
◎ちくま文庫「書斎の宇宙: 文学者の愛した机と文具たち」高橋輝次 編集
妹尾河童の「河童が覗いた「仕事場」 」に近いのかな。あれは面白かったけど。
◎ちくま学芸文庫「自然権と歴史」レオ・シュトラウス
保守派政治学の巨頭シュトラウスの著書。
自然権の歴史をソクラテスからホッブスとかロックへと描いている(らしい)。
自然という概念はなかなか興味深い。
◎ちくま学芸文庫「仏像入門」石上善應
仏像のことは「お釈迦さま百科」ぐらいかな。
◎講談社学術文庫「斜線 方法としての対角線の科学」カイヨワ,ロジェ
同じカイヨワでは「イメージと人間」があるけど、うちのにはカイヨワの対角線の科学シリーズなんていうシリーズ名はついてなかったはず。まあどっちにせよこれも対角線だ。
◎講談社学術文庫「パンの文化史」舟田詠子
パンについては「パンとワインを巡り 神話が巡る」という愉快な本を持っている。
もちろんパンそのものについて語ったものは持ってない。
◎講談社学術文庫「フロイトとユング」小此木啓吾/河合隼雄
心理学は得意じゃないんだが、「ユングとオカルト「フロイト以後
」なんて本は持っている。
◎講談社学術文庫「科学の解釈学」野家啓一
科学哲学ってやつですか。
◎角川ソフィア文庫「太平記の群像 南北朝を駆け抜けた人々」森 茂暁
「皇子たちの南北朝」の著者。
同時代については「楠木正成と悪党」「太平記「よみ」の可能性
」あたりが読み応えあり。
◎角川ソフィア文庫「ダライ・ラマ般若心経を語る」ダライ・ラマ
いうまでもなくチベット密教の人だから日本とは違う解釈があるのかも。
般若思想については「「覚り」と「空」―インド仏教の展開」が分かりやすいかも。
◎河出文庫「日本人の神」大野 晋
国語学者による"日本語の神"論。「日本語をさかのぼる」にもそんな話があったような。
◎河出文庫「フランツ・ヨーゼフ: ハプスブルク「最後」の皇帝」江村 洋
同じ著者による「ハプスブルク家の女たち」に若干の記述があり、「ウィーン
」は同時代の帝都を扱っている。
◎講談社メチエ「藤原道長「御堂関白記」を読む」倉本一宏
◎講談社メチエ「教会の怪物たち ロマネスクの図像学」尾形希和子
教会は多くの怪物たちに守られている?怪物たちを見ることはキリスト教の深層に触れることになるのかもしれない。
わが家にも「怪物のルネサンス」「幻想の中世
「グリーンマン
」など怪物にまつわる本が結構ある。
◎吉川弘文館歴史文化ライブラリー「死者のはたらきと江戸時代: 遺訓・家訓・辞世」深谷克己
うちにある似た本は「思わず知りたくなる!日本の名言141」多分もっとまともな本なんでしょう。
目玉は「イギリス史10講」「科学vs.キリスト教 世界史の転換」「教会の怪物たち」
どれも必読です。
| 固定リンク
コメント