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2011年8月22日 (月)

8月の気になる新刊 文庫・新書・選書

8月の新刊から気になる新書・文庫・選書をピックアップ、私の蔵書と絡めて紹介します。
○岩波新書「古代国家はいつ成立したか」都出比呂志
邪馬台国は国家なのか、倭国は国家なのか、飛鳥時代は国家なのか、ようするに国家とは何なのかっていう定義の問題でしょう。
井上光貞の「日本国家の起源」では、タイトルで日本国家といってもそれは日本古代史ということであって“国家”の定義にこだわっているわけではない。同じ岩波新書の「日本国家の形成」や「日本の誕生」あたりが詳しい。

○講談社現代新書「居酒屋の世界史」下田 淳
こういう文化史は知ったかぶりをしたい私などにはピッタリ。
中世を旅する人びと」 には中世ドイツの居酒屋の役割が結構詳しく描かれているし、イギリスの酒場=パブを描いたのには「パブ・大英帝国の社交場」がある。
本書はアジアにも言及があるようなので、その辺は楽しみ。

○ちくま新書「葬儀と日本人: 位牌の比較宗教史」菊池章太
葬式仏教というように日本の死者の弔い方は仏教によるものと思っているが、位牌を祭るというのは決して仏教のあり方ではない。その辺は「儒教とは何か」でもふれている。位牌というよりむしろ墓に比重が大きいが、「墓と葬送の社会史」「葬制の起源」が葬制全体を扱っている。「幻視する近代空間」では、戦争と位牌の変貌について述べて面白い。

○ちくま新書「法然入門」阿満利麿
いちおう我が家は浄土宗なので法然上人について知っておくのも悪くはないはず。
大学のテキスト的なものでは「日本仏教のこころ―入門日本仏教思想史」があり、「鎌倉新仏教の誕生」にも当然法然が出てくる。
と思ったら「日本思想大系〈10〉法然・一遍」などという本も持っていた。ただしこの本を買った時、興味は一遍の方にあったので法然は目も通していなかった。

○平凡社新書「葬式仏教の誕生-中世の仏教革命」松尾剛次
上記の「鎌倉新仏教の誕生」と同じ著者。多分内容も関連しているに違いない。

○KAWADE夢新書「奥州藤原三代の栄華と没落」武光 誠
また出ました武光先生。あなたの専門は何なんでしょう。
奥州藤原氏については「奥州藤原氏―平泉の栄華百年」、平泉については「平泉―よみがえる中世都市」あたりで間に合うような。

○集英社新書「新選組の新常識」菊地 明
今さらどんな新常識が出てくるのか知りませんが、同じ著者によるものでは「新選組実録」「土方新選組」などがあります。

○洋泉社歴史新書y「京都見廻組 秘録―龍馬を斬った幕府治安部隊
これも上と似通ったものですが、見廻組そのものを主題にしているのは珍しいかもしれません。

○洋泉社歴史新書y「戦国の交渉人」渡邊大門
イメージだけでいうと安国寺恵瓊に悲劇という言葉は似つかわしくない。策謀の人という感じだ。そうではないという内容なのだろうか。

○岩波文庫「パリ・コミューン(上)」H.ルフェーヴル
意外なことに「パリ・コミューン」を扱った本を持っていなかった。我ながらビックリした。

○講談社学術文庫「江戸滑稽化物尽くし」カバット,A.
江戸の大衆文学に現れた怖いというより笑ってしまうような化物たち。
たとえば「暮しの中の妖怪たち」にも通じる内容か。

○講談社学術文庫「日本人の数学 和算」下平和夫
和算についてなら、「日本史再発見―理系の視点から」や「非ヨーロッパ起源の数学―もう一つの数学史」あたりが関連しそう。

○講談社学術文庫「世界史への扉」樺山紘一
樺山紘一の著作は10冊も持っているが、そのうち単著は「カタロニアへの眼」「異境の発見」「地中海―人と町の肖像」の3冊だけ。
共著が「中世の風景 (上・下)」「歴史のある文明・歴史のない文明」。
編著が「現代歴史学の名著」「世界の旅行記101」「都市の文化」「魔女とシャリヴァリ」訳書が「新版 新しい歴史―歴史人類学への道」。

○講談社学術文庫「城の日本史」内藤昌/河田克博/水野耕嗣/麓和善/油浅耕三
似たような本でうちにあるのは「城郭 (日本史小百科)」か。

○ちくま学芸文庫「コンピュータ・パースペクティブ: 計算機創造の軌跡」チャールズ&レイ・イームズ
コンピュータの黎明期を豊富な資料とともに辿る写真集。面白いかも。
うちの書棚でコンピュータの歴史に関係しているのは「ノイマンの夢・近代の欲望」だけだな。

○ちくま学芸文庫「レヴィナスを読む: 〈異常な日常〉の思想」合田正人
レヴィナスについては「現代思想を読む事典」あたりで眺めただけ。

○中公文庫「ケルト神話の世界(上)」ヤン・ブレキリアン
ケルト神話の概説はやや古いけど「ゲルマン,ケルトの神話」があり、後世への影響は「ケルト神話と中世騎士物語」、ケルトの妖精については「ケルト妖精学」がある。
ケルト神話の原典では「オシァン」あたりかな。

○角川ソフィア文庫「帝都妖怪新聞」湯本豪一
上の「江戸滑稽化物尽くし」にもつながるのかな?

○講談社選書メチエ「「社会」の誕生 トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史」菊谷和宏
いちばん関連しているのが「群衆―モンスターの誕生」かな?

○筑摩選書「天皇陵古墳への招待」森 浩一
古墳には興味がありますが、本書はどんな視点なのでしょう?天皇陵を公開しろということなのか、天皇陵についての新たな知見なのか。

○平凡社選書「儀礼と権力 天皇の明治維新」ジョン・ブリーン
維新期の天皇については「天皇の肖像」「天皇の祭祀」「天皇と日本の近代〈上〉〈下〉」あたりとリンクするのかも。

○吉川弘文館歴史文化ライブラリー「その後の東国武士団」関 幸彦
東国武士が鎌倉以後どう生き残っていったか。あまり考えなかったテーマだ。
足利氏だって東国武士だし。

○吉川弘文館歴史文化ライブラリー「その後の東国武士団」加瀬和俊
うちの書棚にはないテーマだが、気になるタイトルだ。

○NHKブックス「文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子」酒井伸雄
ジャガイモ、トウモロコシ、カカオ、トウガラシなど新世界からもたらされた豊かな農作物が世界を変えていく。
たとえば「栽培植物と農耕の起源」でもふれている。

今月の目玉は、新書では「居酒屋の世界史」で選書では「文明を変えた植物たち」ぐらいかな。

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